東ロボ君(東大挑戦の人工知能)の失敗が伝えるもの

君たちは最難関大学の東京大学合格を目指し開発されていたAI(エーアイ:人工知能)の「東ロボ君」が大学受験に挑戦していて、昨年の秋、もう早くも東大受験を断念することになったというニュースを知っていますか?

現在の大学入試システムでは、まず最初に大学入試センターという組織が実施する試験(いわゆるセンターテスト)を受験し、その得点に応じて、各々が進学を希望する大学の二次試験を受験する。この2つの得点により、大学合否が決められています。
大学への第一段階であるセンターテストの模擬試験を受験し、東ロボ君は950点満点中525点。
突出している数学と物理がまあまあなので、三教科受験のできる私大の中堅ぐらいは合格できますが、525点、得点率55%では、東大どころか五教科必要な全国の国公立大学に合格することはかなり難しいことになります。
つまり、現状の技術の延長線上では、AIが東大に合格する可能性はないと判断されました。

コンピュータは全て数字でできています。AIに使えるのは「論理」と「統計」だけ。文章も短文のデータをどれだけたくさん入力していても、文と文とのつながりの総合的な理解が必要なものが解けない。英語の読解問題(英単語は辞書1冊分全て入力してあるのに!)が半分程度の正解率だったことからそのことがよくわかります。

A:It begins to rain.
B:Does it?I have no umbrella.
A:(              )

A:「雨が降り始めた。」
B:「かさを持っていない。」
この二つの文脈からAが言いそうな(  )内の答え(「困ったなぁ」といった文脈は誰でもわかるよね)をAIは想像できない。何億という英単語や、rain・umbrellaが入っている例文を入力されているのに。

AIは数学の問題を解いても、雑談に付き合ってくれても、珍しい白血病を言い当てても、実は「意味」を分かっていないのです。
「意味の理解」そして「文脈」というものがどれほど大切なことか、この東ロボ君の挫折で君たちにもよくわかるでしょう。「文脈」の読み取り、それには、国語力が必須です。高校に入ってからの英語も最終的には「日本語の力」が必要となってくることを忘れずに!

2017.1月

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