オリンピックは歴史上どうして一端廃止されたのか

今月、リオデジャネイロ・オリンピックが開催されています。
皆さん楽しみにしている競技もあるのでしょうね。幼い頃から何かスポーツをしている子どもたちにインタビューしている場面をしばしばテレビで見ますが、皆、口をそろえて
「将来の目標はオリンピック選手になること」
と言っています。皆オリンピックが大好きですよね。しかし、そのオリンピックが廃止されて近代になるまで開催されなかったということがありました。どうしてでしょう。

オリンピックはそもそも2800年ほど前、古代ギリシャで始まりました。古代ギリシャのいち地方「オリンピア」で四年に一度、夏に開かれました。夏だったのは、麦の収穫が終わり、ブドウの取り入れまでの農閉期にあたるからです。
古代ギリシャは“ポリス”と呼ばれる都市国家が分立していたのは歴史で学びますね。その「ポリス」のそれぞれが守護神を持つ多神教の世界でした。その中の最高神である「ゼウス」に捧げる神事としての競技会がオリンピックだったのです。
オリンピアの祭典はギリシャ全体がローマ帝国の支配下に入った後も続きます。しかし、四世紀初めにローマ帝国がキリスト教を公認します。帝国維持のため信者を増やしていたのです。
一神教としてのキリスト教を利用することになったのです。A.D.380年、ローマ帝国はキリスト教を国教として、それ以外の宗教を禁止するようになりました。多神教が否定されたことで、ゼウスを祭るオリンピアの祭典も「異教」として、禁止されることになったのです。それ以後1500年もの間、オリンピックはありませんでした。(十九世紀末、近代オリンピックとして、再びオリンピックは世界に戻ってくるのです。)
中学生までに習う歴史の中に、西洋人が初めて出てくるのは「フランシスコ・ザビエル」。彼が世界の果て(西洋人からみると、東の端の端)の日本まで来たのも「キリスト教」が原因ですね。その根っこにあるのはルネサンスの運動。ルネサンスとは「ギリシャに帰れ」の合言葉。
西洋の歴史の根本、「ギリシャ」を想いながら、オリンピックを観てみましょう。

2016.8月