お正月に「ひらがな」をもう一度見直してみよう

日本語にもし「ひらがな」がなかったら、どんなに窮屈だったでしょう。漢字は
意味を持つ文字ですから、使うにはとても便利なものですけれども、それだけで、書かれたものだけでは、細かいところまで表現できないですよね。

ひらがなが生まれたのは、皆さんよく知ってのとおり、遣唐使の派遣を止めて、
文化そのものが日本化していく十世紀、「古今和歌集」が成立した頃といわれています。
日本独自の短詩形文学(歌集、俳句)は、「ひらがな」なくしては存在しえなかったでしょう。そう、和歌三十一文字、俳句十七文字は音の数です。ひらがな
表記だからこそ、表現できたのです。十七音のみで、一つの世界観を表現できる
文学は世界のどこにもありません。

ひらがなの成立当時、正式に使う(公文書など)のは漢字=真名(まな)といいました。
それに対して仮名(かな)、つまり、仮の文字として「かな」は女性にも許されました。
=だから“女手(おんなで)”ともいいます。使う文字にも男女差があった頃、平等に使えるとして出発したのです。
そう思ってみると、ひらがなの 形、ひとつひとつが美しく見えてきませんか?一つとして左右対称(シンメトリーは西洋的です)の文字がないところも、いかにも日本的ですね。

いろはにほへど
ちりぬるを
わがよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせず
    作者不詳

これは日本語の音の全てを一度だけ使って意味のある歌にしたものです。
一音のみということでひらがな表記になっていますね。
しかし「ん」がひらがなに登場するのは鎌倉時代以降です。では、この難しいお題(一音しか使わない)をクリアし、意味のあるものに作り上げた人物は誰でしょうか?
平安時代まで ですよね。
つまり、古代の文学、学問に関係するスーパースターでないとこれ は作れません。考えてみてください。

*実は作者は特定されていません。古代ミステリーの一つです。